オフショア開発とは?最新動向とメリット・デメリットを簡単にわかりやすく解説!

Rabiloo

IT技術の進歩やグローバル化が進む中、大企業の多くがオフショア開発を採用しています。
しかし、最近は中小やスタートアップの企業からも活用が増加しており、オフショア開発がIT開発の手法として次第に一般化しています。
また、オフショア開発は「下流工程の下請け」から「グローバル開発」という位置付けに変化してきています。
本記事では、オフショア開発の概要を簡単に解説し、最新動向、メリットとデメリット、さらには成功の秘訣についてまで、お伝えしたいと思います。
オフショア開発についてまだあまりよくご存知でない方に、お役に立てていただければ幸いです。
オフショア開発とは
オフショア開発(英語:offshore development)とは、企業が自社のIT関連業務の一部やソフトウェア開発・保守・運用などを、海外にあるパートナー企業に委託することを指します。具体的には、アジアなどの国々に開発拠点を設け、現地のエンジニアに業務を委託することが一般的です。
アジア新興国の企業や業者は、人件費が日本に比べて安いため、高品質なソフトウェアを低コストで開発できます。
「オフショア」という言葉の意味について詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶︎オフショアとは?IT業界やビジネスで使われる意味を簡単に解説!
多くの大手日本企業は、グローバル展開や競争力の向上のために、海外に開発拠点を置き、オフショア開発を積極的に取り入れています。
オフショア開発でよく利用される国
日本企業がオフショア開発でよく利用する国は、以下のようなアジア新興国です。
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インド
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中国
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ベトナム
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フィリピン
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ミャンマー
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バングラデシュ
インド
英語が通じるインドは、アメリカのIT企業が24時間体制でIT開発を行う、オフショア開発において最も実績のある国です。
エンジニアの技術力が非常に高いのが特徴です。
中国
1980年代から、中国に進出した日系企業の間でオフショア開発が始まりました。
現在でも多くの大手企業が中国で開発を行なっています。
ベトナム
ベトナムは日本からのオフショア開発で一番人気の国です。人件費が高くなった中国に代わり、現在ではベトナムでオフショア開発を行う企業が大半を占めています。
ベトナムは中国よりも親日で、国民性も真面目で勤勉であることからマネジメントがしやすいのが特徴です。また、ベトナム人エンジニアの技術へのアップデートが早く、近年、品質が向上してるのも人気の理由です。
フィリピン
英語が通じるフィリピンも、オフショア開発で人気の国の一つです。web開発やアプリ開発などの案件を得意としています。
ミャンマー
ミャンマーは人件費が安いのが特徴です。まだオフショア開発の経験が浅く、扱える案件は限られますが、勤勉で親日なので注目されています。
バングラデシュ
インドに技術を学んだバングラデシュは、世界中のIT開発の下請けを低コストで引き受ける注目のオフショア開発国です。
オフショア開発のメリット
オフショア開発を行うことで、企業は以下のメリットが得られます。
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コスト削減
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豊富な人材
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高品質な開発
コスト削減
オフショア開発を行うことで、開発コストを削減できます。
IT開発のコストの大半を占めるのが、エンジニアの人件費です。そのため、日本よりも人件費の安い海外のエンジニアを使って開発することで、人件費や設備費などのコストカットができます。
うまくマネジメントすれば、日本国内で開発するより、30%程度コストを抑えることができます。
豊富な人材
出典:経済産業省 IT 人材需給に関する調査
オフショア開発を行うことで、海外のエンジニアリソースを確保できます。
現在、日本は深刻なIT人材不足を抱えています。経済産業省が発表した試算によると、「2030年に最大で79万人のIT人材が不足する」と言われています。少子高齢化で労働人口が減少していることと、AIなどの先端技術を扱える人材が育っていないことが、IT人材不足の原因とされています。高まるIT需要に対してエンジニアの供給が追いついていないのが現状です。
一方、海外には労働者人口が多く、ベトナムなど国策でIT人材を積極的に育成しているため優秀なIT人材が豊富にいます。
オフショア開発で海外の豊富なエンジニアリソースを利用することで、IT人材不足を解消するという大きなメリットがあります。
高品質な開発
オフショア開発が始まった当初は、海外企業はあくまで下流工程の下請けというクオリティでした。しかし海外の企業や業者は多くの案件をこなしていくうちに、しだいに高度な技術力を身につけ、ソフトウェア開発の品質が向上しています。中には、日本のベンダーでは対応できない先端技術の案件を任せられる海外企業もあります。
オフショア開発の課題とデメリット
一方でオフショア開発ならではの課題やデメリットとなる部分もあります。
以下は、オフショア開発で日本企業が課題に感じる点です。
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コミュニケーションの課題
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時差の問題
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品質管理の課題
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法律的な問題
コミュニケーションの課題
オフショア開発では、言語や文化の違いから、コミュニケーションの課題が発生することがあります。英語でうまく意思が伝えられなかったり、コミュニケーターやブリッジSEの日本語能力がボトルネックとなって、プロジェクトマネジメントがうまくいかないということもあります。
また、外国人を相手に仕事をしたことがない企業にとって、伝え方の問題で失敗するケースもあります。
時差の問題
海外の企業や業者との時差があるため、コミュニケーションや問題解決に時間がかかることがあります。
品質管理の課題
オフショア開発を採用する場合、品質管理についての問題が発生することがあります。海外の企業や業者とのコミュニケーションが円滑でない場合、品質管理がうまく機能しないことがあります。
法律的な問題
オフショア開発を行う際には、海外の法律や規制に対する理解が必要となります。また、知的財産権の保護や契約内容の明確化など、法的な問題についても対応が必要です。
関連記事:
オフショア開発の失敗事例とトラブルの原因【7つの対策と注意点を解説】
オフショア開発の課題と問題点は?課題克服のヒントを徹底解説!
オフショア開発を成功させるには
オフショア開発にはある程度のノウハウが必要になりますが、スモールスタートで始めれば、成功させることができます。以下にオフショア開発を成功させるためのポイントを取り上げます。
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コミュニケーションの改善
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品質管理の徹底
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リスク管理の徹底
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経験豊富なパートナーの選定
コミュニケーションの改善
オフショア開発を成功させるためには、コミュニケーションの改善が必要です。言語や文化の違いに対する理解や、定期的な報告や打ち合わせを行うことで、コミュニケーションの課題を克服することができます。
品質管理の徹底
品質管理については、事前に十分な準備が必要です。品質基準を明確にし、海外の企業や業者とのコミュニケーションを円滑にすることで、品質管理の課題を解決できます。
そのためには、開発者に品質に関する要件を明確に伝え、テストやレビューを徹底し品質に関する問題を早期に発見することが必要です。
リスク管理の徹底
オフショア開発には、さまざまなリスクが存在します。上記で考えたような、コミュニケーション上の障壁や、品質管理、またセキュリティ管理に関するリスクを事前に洗い出し、リスク管理の計画を策定することで、リスクを最小限に抑えることができます。
経験豊富なパートナーの選定
オフショア開発を行う際には、経験豊富なパートナーの選定が重要です。海外の企業や業者に対して、実績や評価などを調査し、信頼性の高いパートナーを選ぶことが成功のカギとなります。
良いオフショアパートナー選びに関しては以下の記事をご参照ください。
▶︎ベンダーが解説するオフショア開発の進め方・コミュニケーションの秘訣!
オフショア開発の2つの形態
オフショア開発で案件を進めるにあたって、主に2種類の開発形態があります。
プロジェクトベースの受託開発
受託開発は、案件ベースの請負契約で、成果物の納品をゴールとします。
基本的に開発はウォータフォール型で進められ、途中で仕様の変更はできません。
海外企業は設計通りに開発を進め、期日までに納品します。
あらかじめ仕様が明確に定まっている比較的小さな案件や、リリースが決まっている案件などは受託開発で進められます。
エンジニアベースのラボ型開発
ラボ型開発は、エンジニアの人数と期間をベースにした準委任契約となり、成果物の完成がゴールではありません。
長期の案件や、途中で仕様を柔軟に変更しながら開発したい案件、細かいサイクルでリリースと実装を繰り返すアジャイルの案件などと相性が良い開発手法です。
国内SIerが海外エンジニアリソースを確保しておきたい場合、また、自社開発を海外リソースを使って内製化したいケースなどで利用は広がっています。
長期でオフショア開発を行なっていく場合、効果的な開発スタイルです。
▶︎【徹底解説】ラボ型開発(ODC)とはわかりやすく言うとどんな開発方法?
小さな受託案件で初めて徐々にラボ型に移行するのがセオリー
ラボ型開発は、パートナーとの相性が良くないとなかなかうまくいきません。そのため、小さな請負契約による案件で様子を見て、うまくいけばラボ型に移行する、という流れが最近のセオリーになっています。
オフショア開発の最新動向
オフショア開発はかつては中国がメインで行われ、下流工程の実装だけを手がける下請けの位置付けで、コストの削減が主な目的として行われてきました。しかし、近年ではオフショア開発の位置付けや役割が変化してきています。
ベトナムが一番人気
出典:『オフショア開発白書(2022年版)』(オフショア開発. com)
https://www.offshore-kaihatsu.com/offshore_hakusho_2022/
「オフショア開発白書2022年版」(株式会社RESORZ発行)によると、新規オフショア案件の約半数でベトナムが選択されています。
中国の人件費が高騰していることや、カントリーリスクの高さから多くの日本企業が中国以外に拠点を移し、ポスト中国としてベトナムが選ばれています。
関連記事▶︎【ベトナムオフショア開発】現状と独自の強みとは?【ランキング1位の秘密を探る!】
現地企業の利用も多くなっている
オフショア開発の多くは、日本企業が開発拠点を海外におき、現地法人を設立し、子会社化した形態が一般的でした。しかし、ベトナムを中心に、日本で就業経験を持つ外国人エンジニアが設立した100%海外資本の現地企業が日本の開発案件を受ける形が多くなっています。
オフショアの一般活用が進んでいる
エンドユーザー企業からのオフショア開発利用が増えているのが近年のオフショア開発の特徴です。単なるベンダーの人手不足解消のリソースとしてではなく、ユーザー企業がラボ型開発を自社の海外拠点として開発を内製化していく動きも、広がっています。
コロナ禍でリモートワークの文化が浸透したことも、オフショア開発利用のハードルを下げた要因になっています。
IT人材不足がますます深刻になる日本において、オフショア開発はもはや特別なものではなく、むしろ必然の選択肢になっていくでしょう。
リソース活用の需要が大きい
エンジニアの技術やアジア新興国の経済力が上がるにつれ、以前ほどインパクトのあるコスト削減はできなくなるでしょう。
今後はむしろ、単価の安さではなく、高度な技術やリソースを求めてオフショア開発が利用されるようになっていくことが考えられます。
まとめ:オフショア開発は今後さらに一般化していく
本記事ではオフショア開発についての概要と最新の動向について簡単にご紹介しました。
オフショア開発の利用は今後もさらに一般化していくでしょう。
多くの企業にとって、オフショア開発はどこか「食わず嫌い」なところがあって、なかなか一歩踏み出せないこともあるかもしれません。
しかし、多くの場合オフショア開発の魅力に気付かれていないというのが事実です。
弊社Rabilooは日本市場が6割、ヨーロッパ市場が2割で高品質のオフショア開発サービスを提供するベトナムのソフトウェア開発企業です。エンジニアの80%はベトナムトップの理工系大学であるハノイ工科大学出身です。
Rabilooは自社のAIソリューションプロダクトも持っており、提案や設計の段階から全てお任せいただけます。
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